日記/2010-5
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2010-5-26
Steampunk Reloaded
SFマガジン2010年6月号の特集は「スチームパンク・リローデッド」と題して、現在英米で再評価の進むスチームパンクを取り上げている。
小川隆が、この特集を解説している文章の中で、最近英米で開かれた様々なスチームパンク関連イベントを紹介しているが、中でもわざわざパンフレットの写真が載せられている、 2009年10月から2010年2月までオックスフォード科学史博物館で開催されたスチームパンク特別展の映像を以下に貼り付けておく。
4分ちょうどに出てくる日本製のスチームパンク腕時計、キュレーターのおじさんは作者の名前を言ってくれてるのだが、まったく日本人の名前に聞こえないヘンチクリンな発音で、なんて言ってるのかよくわからない。が、検索の結果、「末吉晴男時計工房」のものだということがわかった(よくよく聞けば「ハルオ・スェキチ」と確かに言ってる)。一点もので、販売開始とともにあっという間に売れてしまうらしいが、いったい、いくらくらいするものなのだろうか。
特集の最後に掲載されている「スチームパンク・ブックガイド」(選者は卯月鮎、尾之上俊彦、柏崎玲央奈、三村美衣)と、ブライアン・スラタリーのコラム「スチームパンクのサウンドトラックって何?」の中で引用されている、英SF評論誌「マトリックス・オンライン」の記事にある「スチームパンク・バンド」のリストを、以下にまとめてみた。ブックガイドの各ページには、Amazon、Yahooでの検索結果を、サウンドトラックの方には、Discogs、YouTube、Amazonでの検索結果を、それぞれ載せてある。
ブックガイドのセレクトは、万人が認める無難なものになっていると思う。
しかしサウンドトラックの方には、みずから「スチームパンク」を標榜しているバンドもあれば、そのラベルを使おうとしないバンドも混じっていて、「マトリックス・オンライン」の「この連中ならスチームパンク・バンドと考えて問題ない」との主張はちょっと苦しい。曲も、知らないミュージシャンが多くて一概に決めつけられないが、YouTubeの検索結果をチェックした限りでは「うーん、どうだろう」という感じのものが多かった。前述のコラムでも、スラタリーは以下のように述べている。
個人的には、アブニー・パークのサウンドはたしかにおもしろい実験だとは思うものの、それが成功しているかどうかとなると、いまひとつわからない
私もまったく同意見。どちらかというとスチームパンクっぽくないバンド、The Decemberists や The Birthday Massacre の方が断然いいと思った。
バンドのセレクトはリストどおりだが選曲は適当。ただ、Discogsで見つけた「An Age Remembered - A Steampunk / Neo-Victorian Old World Mix」を参考にはした。どうやらこれは、DJ FACT.50を名乗るアメリカ人のおっさんが、自分のお気に入りの曲を集めた、いわば「ラベルに『まい・ふぇいばりっと・そんぐず』ってインレタを貼ったカセット・テープ」的なものを勝手にリリースした上に(Discogsには「File, MP3, Compilation, Unofficial Release」とある)、ついでにDiscogsにも登録しちゃったものみたいだが、まさにこの特集のために作られたようなアンソロジーとなっている。
Book Guide
# | 書名 | 著者 | 出版社 |
---|---|---|---|
SteampunkBookGuide/1 | 海底二万里 | ジュール・ヴェルヌ | 創元SF文庫 |
SteampunkBookGuide/2 | タイム・マシン | H・G・ウエルズ | ハヤカワ文庫SF |
SteampunkBookGuide/3 | ウィンターズ・テイル | マーク・ヘルプリン | ハヤカワ文庫FT |
SteampunkBookGuide/4 | アヌビスの門 | ティム・パワーズ | ハヤカワ文庫FT |
SteampunkBookGuide/5 | 悪魔の機械 | K・W・ジーター | ハヤカワ文庫FT |
SteampunkBookGuide/6 | ディファレンス・エンジン | ウィリアム・ギブスン&ブルース・スターリング | ハヤカワ文庫SF |
SteampunkBookGuide/7 | ドラキュラ紀元 | キム・ニューマン | 創元推理文庫 |
SteampunkBookGuide/8 | 奇術師 | クリストファー・プリースト | ハヤカワ文庫FT プラチナ・ファンタジイ |
SteampunkBookGuide/9 | 黄金の羅針盤 | フィリップ・プルマン | 新潮文庫 |
SteampunkBookGuide/10 | ダイヤモンド・エイジ | ニール・スティーヴンスン | ハヤカワ文庫SF |
SteampunkBookGuide/11 | ネバーウェア | ニール・ゲイマン | インターブックス |
SteampunkBookGuide/12 | 錬金術師の魔砲 | J・グレゴリイ・キイズ | ハヤカワ文庫FT |
SteampunkBookGuide/13 | リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン | アラン・ムーア&ケビン・オニール | JIVE AMERICAN COMICS シリーズ |
SteampunkBookGuide/14 | ペルディード・ストリート・ステーション | チャイナ・ミエヴィル | 早川書房 プラチナ・ファンタジイ |
SteampunkBookGuide/15 | 移動都市 | フィリップ・リーヴ | 創元SF文庫 |
SteampunkBookGuide/16 | クリスタル・レイン | トバイアス・S・バッケル | ハヤカワ文庫SF |
SteampunkBookGuide/17 | モリー・テンプラーと蒼穹の飛行艦 | スティーブン・ハント | エンターブレイン |
SteampunkBookGuide/18 | ユゴーの不思議な発明 | ブライアン・セルズニック | アスペクト |
Soundtrack
# | Artist | Track | Album | Label | Year |
---|---|---|---|---|---|
SteampunkSoundtrack/1 | Abney Park | Airship Pirate | Lost Horizons | Post-Apocalypse Records | 2008 |
SteampunkSoundtrack/2 | Vernian Process | Behold The Machine | Behold The Machine | Not on Label | 2009 |
SteampunkSoundtrack/3 | Unextraordinary Gentlemen | Mr. Soot's Little Black Book | 5 Tales From God-Only-Knows | Not on Label | 2007 |
SteampunkSoundtrack/4 | Vagabond Opera | Milord | The Zeitgeist Beckons | Vagabond Opera | 2009 |
SteampunkSoundtrack/5 | Rasputina | The New Zero | How We Quit The Forest | Columbia | 1998 |
SteampunkSoundtrack/6 | The Peculiar Pretzelmen | Gone To Jericho | Uncanny Eyes | The Peculiar Pretzelmen | 2007 |
SteampunkSoundtrack/7 | Skeleton Key | The World's Most Famous Undertaker | Fantastic Spikes Through Balloon | Capitol Records | 1997 |
SteampunkSoundtrack/8 | The Decemberists | The Hazards Of Love | The Hazards Of Love | Capitol Records | 2009 |
SteampunkSoundtrack/9 | The Birthday Massacre | Looking Glass | Looking Glass | Metropolis | 2008 |
SteampunkSoundtrack/10 | The Dresden Dolls | Coin-Operated Boy | The Dresden Dolls | 8ft. Records | 2003 |
SteampunkSoundtrack/11 | Johnny Hollow | Alchemy | Dirty Hands | Orange Record Label | 2008 |
SteampunkSoundtrack/12 | Beat Circus | Boy From Black Mountain | Boy From Black Mountain | Cuneiform Records | 2009 |
SteampunkSoundtrack/13 | Bat For Lashes | Horse And I | Fur and Gold | Echo | 2006 |
2010-5-22
空から南武線を見てみよう
2010/05/20(木)放送のテレビ東京 「空から日本を見てみよう」の「南武線」 の回をマップにしてみた。
基本的にトピックとして取り上げられた場所(ファイアクラッカーのイントロが流れた場所)をポイントしている。
いや、でも、こんなページを見るよりも、DVDが出たらやっぱりそっちを見た方がいいなあ。
2010-5-20
飛行船
上の写真は、2010/05/09(日)の15時6分に、川崎市の南武線 武蔵中原駅近くの路上から撮影したもの。
本日(2010/05/20(木))放送のテレビ東京「空から日本を見てみよう」は「南武線」の回。
もしかして、この飛行船から撮影していたのではないだろうかと思ったのだが、調べてみると残念ながらハズレ。
「南武線」の回の番組のエンドロールによると、空撮を担当していたのは「ヘリテック・エアロサービス」。飛行船ではなく、ヘリコプターを使った撮影だった。同社のサイトにも、同番組の撮影を担当している旨の記載 がある。
対して、写真に写っている飛行船は「日本飛行船」という会社のもの。映画にちなんだ「飛行船名探偵コナン号フォトコンテスト」なるものが開かれていたことを知るも、時すでに遅く応募は締め切られたあと。まあ、他の応募作を見ると、当たり前の話だが、なかなかうまく撮られているものばかりで、この写真など応募したところで……。
2010-5-5
赤穂浪士と羊飼いの綺想
芦部拓「綺想宮殺人事件」を読了。帯に「『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』に続く世紀の〈奇書〉、ついに降臨。」とあるが、残念ながら泡沫フォロワーの一つといった程度の出来。犯人の正体が、芦辺の著作を読んだことがある者からすると「またかよ」と言いたくなる、いつもの小物。芦部はよっぽどヤツらのことが嫌いなんだな、とゲンナリしてしまった。
以下、本筋とは関係ない話。
作中、探偵森江春策が宿泊した部屋の壁に描かれていた絵画が、見る方向によって、馬小屋で生まれたばかりのキリストを抱えた聖母マリアを羊飼いたちが祝福する図にも、炭小屋で切り落とされたばかりの吉良上野介の首級を抱えた大石内蔵助を浪士たちが祝福する図にも見えるトリック・アートであった、というシーンがある。
作中にも記載のあるように、これは安田雷洲という幕末の絵師が描いた「赤穂義士報讐図」が、オランダの画家アルノルト・ハウブラーケンが描いた聖書の挿絵である「羊飼いの礼拝」の図を粉本としたものだ、という神戸市立博物館の岡泰正学芸員の研究が元ネタとなっている。
で、さっそくググってみた。いみじくも森江春策が暴露したように「グー*ルとウィ*ペ*ィアさえ駆使すれば、誰でも博覧強記の教養人になれるのが当世のありがたさ」というヤツである。
こちらが安田雷洲「赤穂義士報讐図」。
で、こちらがアルノルト・ハウブラーケン(Arnold Houbraken)の「羊飼いの礼拝」。
http://www.mythfolklore.net/lahaye/201/LaHaye1728Figures201LukeII16ShepherdsFindJesusInMangerMed.jpg
http://www.mythfolklore.net/lahaye/201/index.html
確かにそっくりの構図である。雷洲描くところの赤穂浪士の顔立ちや立ち居振る舞いがなんだか外人風なのも、オランダ人が描いた聖書の挿絵を元にしたということであれば、納得できる。
國華第一三四二號収録の神戸市立博物館学芸員岡泰正の論文「安田雷洲筆『赤穗義士報讐圖』の原圖をめぐつて」と、そこに抄訳が引用されているオランダ人銅版画家にして銅版画研究者でもあるアド・ステイマンの論考「『羊飼いの禮拜』のための一考察」によると、岡はすでに1985年には、そのモチーフからオランダの銅版画で聖書の図像が元になっているのであろうとのアタリはつけていたが、その後15年間の調査によっても、これが原図だ!というオリジナルそのものの発見には至らなかった。2000年に来日したステイマンと知り合った岡は、彼に積年の原図探索について語り、調査を依頼。そのときステイマンは「『東方三博士の禮拜』はキリスト教美術では最もよく取り上げられるテーマのひとつであるため、かえつて發見できる確率はかなり低いだろう」と岡に告げる(当初岡は「羊飼いの礼拝」ではなく「東方三博士の礼拝」が粉本だと睨んでいた)が、ともかくも依頼を受諾する。
5年後、たまたま18世紀中国で製作されたヨーロッパ向け磁器に関する論文を読んでいたステイマンは、中国の絵付師が手本にしたとされる小型聖書の銅版画による挿絵に注目する。ヨーロッパから中国へ渡った商人たちは、旅行に持ち運べる小型の聖書を携えていた。その商人たちが本国へ戻る際、後に残していった聖書を、中国の絵付師が手にしたという訳である。これと同じことが日本でも起こったのではないか。その小型聖書の挿絵の縦横の比率が雷洲の作品と同じであることに意を強くしたステイマンは、挿絵の作家ヤン・ライケンが出版した数千にものぼる版画の調査を開始する(なお、岡によると、司馬江漢が参考にしたのもヤン・ライケンである)。収集家のカタログやアムステルダム大学の図書館、さらにはライケンの全銅版画を保管しているアムステルダム歴史博物館にもあたるがのきなみハズレ。しかし、このとき出会った歴史博物館の学芸員からの助言によって、先の論文にも言及のあったオランダ聖書協会図書館へ問い合わせを行うことになる。
ステイマンから、「東方三博士の礼拝」の挿絵が入った小型判の聖書を探しているとの連絡を受け、雷洲「報讐図」のフォトコピーを受け取ったオランダ聖書協会図書館の司書は、数冊の小型判聖書を見つけたが該当する図はない、と回答する。ところがこの司書氏、そのあと「報讐図」を眺めていて、前年のクリスマスのレクチャーで取り上げた版画のことを思い出す。そして、まさにその版画こそが、雷洲の原図そのものだったのである。しかしそれは「東方三博士の礼拝」ではなく「羊飼いの礼拝」であり、作者はヤン・ライケンではなくアルノルト・ハウブラーケンであり、小型聖書の挿絵ではなく縦が44cmもある三巻本の大型聖書に含まれていたのである。
そこで岡とステイマンは以下のような推理を展開する。縦44cmの大型聖書は、オランダ船水夫や商人が個人的礼拝に用いるには大きすぎるし、長崎出島に持ち込むことができるサイズを超えている。それなら、本が解体されて一枚物の版画となってから輸入されたと考えたらどうか。立派な聖書も百年もたてばバラバラにしても惜しくないものになっているだろう(この聖書の初版は1720年。雷洲「報讐図」が描かれたのは幕末)。当該聖書の他の挿絵の中に、日本の絵師への影響が想定されるものがひとつとしてないことも、この一枚だけが輸入されたことの傍証と言える。また、「羊飼いの礼拝」の図像自体は、出島持ち込みの検閲を突破し得た可能性が高い。なぜならそこには目立ったキリスト教的イメージは存在せず、描かれているのは男たちが一組の男女と赤ちゃんを取り囲んでいる場面に過ぎないからである。これには、この版画がオランダの伝統に従っていること(マリアに光輪を描くこともなく、厩での出産を耐え抜いたたくましいおかみさんとして描かれていることや、背後の羊飼いたちのキリストに祈りを捧げるでもなく私語を交わすさまが描かれていること)も有利に働いたのではないか。ただ、出島からどうやって持ち出されたのかという謎は残る……。
以上、「綺想宮殺人事件」より「國華」の方が面白かったというお話でした。
2010-5-2
Google Maps API V3を用いたプラグイン
API Keyが不要で高速化もなされているというGoogle Maps API V3を用いた、FreeStyleWikiのプラグインを作成してみました。
インストール
- 以下のファイルをダウンロードします。
- gmap3.zip(258)
- 解凍後、plugin以下にインストールします。
- Google Maps API V2では必要であったAPI Keyは、V3では不要になりました。
glmap プラグイン
{{glmap 35.658613,139.745525,500,500,18,HYBRID}}
「35.658613」「139.745525」は、それぞれ緯度、経度。必須のパラメータです。
「500」「500」は、マップ領域のサイズ(それぞれ「横の画素数」「縦の画素数」)。省略するとそれぞれ「400」「300」になります。
「18」はマップ領域のズームの設定。「0」が最小(地球全体)で「20」が最大。省略すると「16」になります。
「HYBRID」は表示する地図のタイプ。「ROADMAP」(地図)、「SATELLITE」(航空写真)、「HYBRID」(地図+写真)、「TERRAIN」(地形)のいずれかが設定できます。省略すると「ROADMAP」になります。
gmap プラグイン
{{gmap 東京都港区六本木6-10,500,500,17,ROADMAP}}
「東京都港区六本木6-10」は住所。必須のパラメータです。
「500」「500」は、マップ領域のサイズ(それぞれ「横の画素数」「縦の画素数」)。省略するとそれぞれ「400」「300」になります。
「17」はマップ領域のズームの設定。「0」が最小(地球全体)で「20」が最大。省略すると「16」になります。
「ROADMAP」は表示する地図のタイプ。「ROADMAP」(地図)、「SATELLITE」(航空写真)、「HYBRID」(地図+写真)、「TERRAIN」(地形)のいずれかが設定できます。省略すると「ROADMAP」になります。
参考情報
履歴
- 2010/05/08に、共通部をコアのプラグインとしてくくり出す修正を行った後、FreeStyleWiki本家のサイトに投稿しておきました。
- 2010/05/22に、「空から南武線を見てみよう」を書いていて気づいた、glmap プラグインで指定した位置が大きくずれる場合があるバグを修正(まだちょっぴりずれてるんだけどそれは許して)。2010/06/01にFreeStyleWiki本家のサイトにも修正版を貼り付けておきました。