「スーパーコンピューターを20万円で創る」のどうでもいい話

 「スーパーコンピューターを20万円で創る」を読了。なかなか面白く読み終えました。
 タイトルを見たときは、20万円でスーパーコンピューターを作るためのハウトゥー本かと思いましたが、そうではありません。
 1989年、多体問題のシミュレーション計算を行いたい教授と研究室の面々が、当時の汎用スーパーコンピューターがバカ高いうえに遅くて使い物にならないため、専用のコンピューターを「創る」、その開発のドラマを描いたノンフィクションです。
 以下、本筋とはあんまり関係ない、どうでもいい話。

  • この本が書かれたきっかけは、NHKの「プロジェクトX」。番組で取り上げたいと話があったが結局実現しなかったため、当事者の一人伊藤智義が書く気になった。
  • 研究室のボス杉本大一郎教授は、東大駒場騒動のとき、反対派として、西部邁舛添要一蓮實重彦村上陽一郎ら賛成派と対決した人物。
  • 著者伊藤は漫画「栄光なき天才たち」の原作者でもある。彼の持ち込みがきっかけで連載が始まった。印税のおかげで修士1年時の年収は1400万。現在伊藤は千葉大教授の職にあるが年収は1000万に届いていないとのこと。
    • 全17巻中、彼が原作を書いたのは、1〜4巻、6巻、8巻、14巻。
  • 伊藤はアルバイトで2年間、淑徳与野高校で数学の非常勤講師を務めた。群馬大学助手への赴任でバイトをやめた翌年、菅野美穂が同校に入学。伊藤が講師を続けていれば教え子になっていたはずで、それが後悔の種。

 最後の菅野美穂の話は、「研究室の他のメンバーは『仕事が研究で、趣味が研究』というタイプであるのに対して、伊藤は違っていた」ということを示す例として挙げられている話なんですが、もう本当にどうでもいい話で、本にわざわざ書くことでもないんじゃないかと思えます。
 でも、この「あーあ、群馬に行っていなければ、みんなに自慢できたのに……」問題について書かれた節のシメの言葉に

伊藤はそういうタイプの人間だった。

とあるように、著者はまさにこういうことを書かずにはいられないタイプなんでしょう。
 好感が持てます。


最終更新時間:2008年06月01日 23時03分21秒