マンコ・カパック

最終更新時間:2010年02月06日 12時21分30秒
性的なことば
講談社
井上章一/斎藤光
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 講談社現代新書「性的なことば」の「まんこ、やりまん、あげまん」の項目を執筆しているのは、東京経済大学准教授の澁谷知美
 まえがきによると「本書の各項目は、それぞれ独立した学術エッセイとしての体裁を持っている」とのこと。この「まんこ、やりまん、あげまん」の項目も、出だしはまんこの語源解説であり、学術エッセイっぽい香りもなくはないが、その後は関西出身でお笑い好きという澁谷のおばはんギャグが連発されていく。

香川県綾歌郡では「毎度。いつも」のことを「まんこまんこ」という(『標準語引き 日本方言辞典』二〇〇四年)。香川県出身者が性病にかかった場合、「まんこまんこ、まんこが痒い」と作文するかもしれない。
 江戸川柳「萬戸将軍女だと知ッたふり」(『誹風柳多留』一六一篇)の萬戸将軍は浄瑠璃や幸若舞の題材『大職冠』の登場人物。唐の勅使として、貢ぎ物の宝玉をたずさえて日本を訪問した。まんこがタマをもってやってきたのである。

 私がもっとも印象深かったのは以下の一節。

 インカ王朝の創始者とされるマンコ・カパックは、高校の世界史の授業を盛り上げた人物の一人だろう。インカ帝国には「太陽の処女の宮殿」があった。全国から美しい処女が集められ、神に仕えるための訓練をほどこされる。セックスは生涯禁止(ハイラム・ビンガム他著『インカ黄金帝国』一九六八年)。処女たちがマンコをカパッと開くことは許されなかった。

 これを読んだ私はただちにこの曲のことを思い出した。
 

つボイノリオ先生改「インカ帝国の成立」

 
 なお、同項目では、1984年に起きた松本明子が生放送で「おまんこ」と口走ってしまった事故についても触れられているが、生放送でおまんこと言えばこっちでしょう。