馬の尾

最終更新時間:2012年06月20日 18時22分17秒

 最近出た(奥付によると2012年5月25日発行)須田鷹雄監修「『勝つための競馬』きほん事典」の第4章「直前確認 データ&自分の目で馬の調子を見抜く」、「パドックでのチェックポイント5 馬の動作の意味を推測する」「尾と尻から見抜く」の節には、以下のような記載がある。

尾が持ち上がっている
 尾がつけ根からだらんと垂れ下がらず、根元が少し持ち上がった状態。一般に尾離れがよいと呼び、馬の調子がよく、体の隅まで力がみなぎっている時によく見られる様子だ。さらにリズミカルに尾を振っていれば、より好材料。

 しかしながら、1996年3月25日発行の伊藤友康著「競馬 馬の見方がわかる本」には、全く正反対のことが書かれている。「二章 パドックで出走馬を見る」の「目のつけ所11 馬の『しぐさ』からわかること」には、こう書かれている。

尾の姿や動きには注目の必要なし
 尾についての評価というのは一章で説明したように、握って動かしてみなければわからないと思う。もちろんパドックでそういう真似はできないから、私がパドックを見る時にはほとんど尾に注目することはない。
 「尾離れがいい」などと言って、尾が持ち上がって尻から離れている姿をよしとする見方があるようだが、それは腰の形や尾のつき方によっても違うだろうし、また馬自身の癖もあると思う。確かに相手を威嚇する場合などに尾を立てることがあるだろうが、競争はそういう場合とは違うはずだ。比べてみれば確かにペッタリと垂れた尾よりは、多少持ち上がっている方が元気があるように見えるが、それが気合いと関係しているとは思えない。
 それから「ゆったりと尾を振りながら歩いているのはリラックスの現れ」という説も聞く。しかし、落ち着いている馬にはあまり尾の動きはないと思う。馬は苛立っている時に尾を振るので、イレ込んでジタバタしている馬は尾も振っているだろう。また、幼さの残る馬には尾を振る傾向がある。牧場では常にそうやってアブやハエを追い払っていたのだろう。だから、これから訓練を受ける若馬などはよく尾を振っているものだ。しかし、競馬場にはほとんどアブやハエはいないし、レースに向かって集中していればそんなしぐさはでないはずだ。

 ことほど左様に馬を見るのはむずかしいということか。