フロストとモース

最終更新時間:2008年09月06日 16時47分31秒

 先月買った「フロスト気質」をやっと読了。

No Item.

 このシリーズも第四弾。過去最長ながらも、次々と発生する事件を巧みに捌く作者の手並みはますます鮮やかで、ゆるみなくスピーディな展開で読ませるんですが、正直、なかなか読み進めることができませんでした。
 ものすごい既視感があるんです。この話、知ってるぞ、次はこうなる、その後はこうなって、この件の犯人はこいつ……、それらが次々とその通りになっていくのです。先の展開がわかってしまうと、さすがに面白くありません。
 2008年7月の新刊、単行本はでておらず、いきなり文庫になっていますので、以前この本を読んでいるということはあり得ません(原書を読む英語力もないですし)。
 この既視感はいったいなんなのか?
 読んでる途中でさすがに気づきました。
 ああ、この話、ドラマで見たんだ。
 何年か前、ミステリーチャンネルで、イギリスで制作された「フロスト警部」のドラマを放送していました(その後も何度か放送されているようです)。たまたま、この「フロスト気質」を原作とする回を見ていて、その記憶が頭の片隅に残っており、本を読み進むにつれ、それがよみがえってきて、強烈な既視感になったようです。

No Item.

No Item.

 「フロスト気質」を原作とするドラマは2本作られているようです(少年誘拐事件をメインプロットとするものと、注射魔事件がメインのもの)。つまり、一つの原作から二つのプロットを作り出しているわけで、その意味で全然原作に忠実ではありません。
 それなのにこんなに既視感を感じるということは、原作をよほどうまく分割してドラマ化したのでしょう。犯人を引っかける方法など、細かい部分までまさに原作通り。
 ひたすら記憶を確認するためだけの読書となってしまいました。
 
 そのミステリーチャンネルで先月「主任警部モース」を放送していました。ミステリーチャンネルでは字幕版を放送していたように思うのですが、先月放送分は吹き替えでした(何年も前にNHK-BSで放送された分かもしれません)。
 たまたま見たのは「森を抜ける道」の回(DVDはボックスでしか売られていないようです)。

No Item.

 これは私がモース警部シリーズの中でも一番好きな話で、期待しながらドラマを見たのですが……。
 原作と違う!
 いや、事件の骨格というか、おおまかな部分は原作通りなのですが、最も重要と思われる、警察に送りつけられる謎の詩(暗号)が出てこないのです!
 まあ、暗号ものは映像化しても面白くないというか、面白く映像化するのが難しいので、やめちゃったのかもしれません。しかし、最も重要な(少なくとも私はものすごく驚いた)サプライズが、この詩が登場しないために、丸ごとなくなっちゃってます!
 確かに、この詩に関するサプライズは、犯人の解明には直接は無関係なので、プロットのことだけ考えれば、なくしちゃってもいいんでしょうが、モースのモースたる所以、モースの面目躍如たるサプライズであるため、果たして本当になくしちゃってもよかったのか……。
 原作をアレンジしてドラマにするのが普通なんでしょうが、原作が大好きな作品であるだけに、この改変はちょっとどうかと思ってしまいました。

No Item.

 かたや原作に忠実にドラマ化されていたが故に楽しめず、こなた原作を改変してドラマ化していたが故に楽しめず。自分勝手なものです。