日記/2010-9
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2010-9-28
草鹿法律事務所はどこにあるのか・続
「女弁護士・高林鮎子」は、日本テレビの今は亡き火曜サスペンス劇場で好評を博した、眞野あずさ主演の人気シリーズ。私はこのシリーズが大好きで、今でも再放送があるたびに、ついつい見てしまう。
昨年、長らく疑問だった、劇中で草鹿法律事務所が入居しているとされているビルが実際にはどこにあるのか、その場所を、Googleをはじめとするさまざまなツールを駆使して特定することができた。東京都千代田区神田駿河台2丁目11番地にある「お茶の水会館」というビルである。
ところが先日(2010/09/26)、BS日テレで再放送されていた「女弁護士高林鮎子(21)上毛高原逆流の殺意 水上−大阪、二つの死に恨み紅葉を」を見ていて、いつの間にか事務所が移転していることに気づいた。
エンディングのクレジットに記載はなかったが、下記の画面からビル名をあらかた読み取ることができたため、特定は容易だった。
この建物は「東京都千代田区内幸町2丁目1-4」にある「日比谷中日ビル」である。
シリーズ後半に事務所が移転することは何となく覚えていたが、こんなに早い時期からだったとは意外だった。移転した後も、事務所の内装が(というか事務所内のセットが)全く変わっていないということが、移転に気づきにくい理由である。もしかしたら、もう少し早い回にすでに移転していたのかもしれない。
以上、常にも増してどうでもいいことだが、メモしておく。
2010-9-11
はやぶさのバクチ
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「本の雑誌」328号(2010年10月号)掲載の、渡邊十絲子のコラム「馬に耳に新書」から、冒頭部分を以下に引用する。
はやぶさという、宇宙のかなたを調べに飛んでいった機械が、地球に帰ってきて大人気。だけどこの機械、故障ばっかりの落第生ですよ。残ったわずかな機能をむりやり別な目的に使ってみる大バクチに偶然成功して無事帰ったことが美談みたいに報じられているのが、なんだか釈然としない。 はやぶさチームは、バクチのセンスが素朴すぎます。「人間の知恵と工夫の勝利」みたいにTVも新聞もあおったけど、そもそも故障しない機械をつくるのが本筋。または故障も想定して汎用性の高い代替機能を用意するとか。それなら「人間の知恵と工夫の勝利」と呼んでもいい。チームにはアカギか渡久地東亜(知らない人ゴメン)を混ぜておくべきだった。あそこまで追いつめられて初めて奇策をひねり出しているようではいつまでたっても負け組だ。他人の金をつぎこんだバクチなんだから「代打ち」である。惨敗しないための保険は周到に、またいくつでもかけるべきだ。
お説ごもっとも。まさにおっしゃるとおり。
だが渡邊は、はやぶさチームの力をあまりに過大評価しすぎではないか。
はやぶさの限られた大きさ重さの中に「故障も想定して汎用性の高い代替機能を用意」しておくほどの技術力は、はやぶさチームにはなかった。しかたなく、できる範囲でやれることをやっておこうと、たまたま追加しておいた小さな小さな1個のバイパスダイオードが、今回偶然役に立っただけ。まさに「負け組」が「大バクチに偶然成功」しただけの話なのである。
はやぶさに搭載されていたECR放電型イオンエンジンは、世界で唯一実用化されたもので、当然ながら今回のフライトが初めての本格的運用だった。そもそも、このエンジンをどう運転すれば長持ちするのか、また、どんな風に故障するのか、そんな知識さえはやぶさチームにはなかったことになる。「本筋」である「故障しない」エンジンを作ることなど夢のまた夢。素朴なセンスでバクチを打つしかなかったのである。
「故障ばっかりの落第生」と言われてもいい。「大バクチに偶然成功」したのでも何でもいいので、まずは勝利を積み重ね、勝ち癖をつけること。それこそが、バクチで勝ちをつかみ続けること、少なくとも、大負けせずにバクチを打ち続けることへの第一歩であると、私は思う。次の勝負に今回の経験が生かされることは言うまでもない。
渡邊のコラムは、上記引用の後、長沼毅と藤崎慎吾の対談集「辺境生物探訪記」の紹介へと移る。この本は、深海、地底、砂漠、北極や南極、火山、果ては宇宙と、あらゆる極地で生命の起源を探る研究者とSF作家の対談をまとめたもの。渡邊は「やってることははやぶさと同様探索だが、こっちは美談仕立てではない」と記しているが、現代の研究者たちが行っている極地探索が、繰り返された先人たちの無謀な大バクチ(美談も多いネ!)の上に成り立っているということには、思いが至っていないようだ。
参考
2010-9-2
遍在するバカボン
まず、百田尚樹「永遠の0」を読了。
主人公は、零戦パイロットだった祖父のことを調べていくうちに、戦時中「桜花」の搭乗員だった老人と出会う。
「桜花」は、1トン爆弾にロケットエンジンと翼を取り付けた、一種の誘導ミサイル。ただし誘導装置はついておらず、かわりに人間が操縦する。爆撃機に載せて運ばれ、上空で切り離してロケットエンジンで加速、滑空して敵艦に操縦者もろとも突撃する特攻兵器なのである。
特攻要員となりながら出撃することなく生きながらえたその老人は、終戦後二度と「桜花」を目にすることもなく、また、見たいとも思っていなかった。
「ところが、十年前、偶然に桜花を見ました。アメリカに旅行に行った時、スミソニアン博物館で目にしたのです。桜花は天井から吊されていました。あまりの小ささに驚いたのを覚えています。そしてそれ以上に衝撃的だったのは、そこに付けられていた名前です。何と書かれていたかわかりますか――バカボムです」 「バカボン――?」 姉は聞き返した。 「BAKA-BOMB、すなわちバカ爆弾です。私は息子夫婦が隣にいるにもかかわらず、声を上げて泣きました。悔しくて、情けなくて――いくら泣いても涙が止まりませんでした。しかし本当のところは、『BAKA』そのものずばりだったのです。すべての特攻作戦そのものが、狂った軍隊が考えた史上最大の『バカ作戦』だったのです。しかしそれだけで泣いたのではありません。そんなバカ作戦で死んでいった高橋たちが、ただただ、哀れで、哀れで、涙が止まらなかったのです」
次に、笹公人と和田誠の連句をまとめた「連句遊戯」を読了。
以下、闇汁の巻の一節。
卒論はバカボンパパの論理学 ニャロメに教える恋の数式
「II 解説対談篇」によると、この一節は、直前の「地球儀を回せば吹くやブリザード/こたつでねむる家庭教師よ」を受けてのもので、長句担当は和田誠。
和田 この家庭教師はバカ田大学出身で、バカボンのパパの信奉者です。卒論も「バカボンパパの論理学」を選びました。この深遠なる学問は赤塚漫画を勉強しなければわからないのですが、この男のこの卒論が認められたかどうかは、さだかではありません。
短句担当は笹公人。
笹 男が教えていたのは少年ではなく実は猫でした。バカすぎるからなのか、それとも南国で違法な薬物を使用していたのか、男には猫が少年に見えていたのです。しかもただの猫ではなくニャロメ。急に気が楽になった男は、「恋の数式」を教えてやるといって、自分がモテたという自慢話を延々と聞かせています。
その次に、みうらじゅん「脳内天国 新装版」を読了。
「その壱 菊池エリに会う」は、伝説のM女AV女優「菊池エリ」が六本木のクラブに勤めているという噂を聞きつけたみうらが、彼女に会いに行った顛末を綴ったもの。
思い起こせば10年以上も前、オレは彼女のAV『シスターL』に出会った。修道女役の彼女がヒゲ&サングラスのニクイ奴(中野D児!!)にSM調教を受け、その切なそうな眉間のシワ&自分の意志とは関わりなく巨大に発育してしまった乳房を震わせ、オレを脳内天国に誘い込んだのだ。 それ以来、オレはエリに首ったけ! 彼女の主演するビデオばかりを買い漁り、ビデオデッキには彼女が住みついてしまった。オレは一時期、彼女に似たM女を現実でも探し求めたが、エリの前にエリは無し、エリの後にもエリはいなかった。 オレは今、天才バカボンのオヤジと同じ41歳の春を迎え、子供の頃思ってた“いい大人になったらオナニーはやめるだろう”という予想を打ち破り、堂々!エリにお世話になっている。
みうらが1958年生まれであることから、上の文章が書かれたのは、彼がバカボンのパパと同い年だった1999年であることがわかる。
Wikipediaによると菊池エリは1965年生まれ。1999年当時34歳、2010年現在では45歳であり、すでにバカボンパパより年上である。
以上、読んだ本3冊に続けて「バカボン」という言葉が出てきたという、ただそれだけの話。